葬儀社様向け電話代行サービス「六花(りっか)」でございます。主に夜間における緊急の搬送依頼、葬儀依頼などを葬儀社様に代わって電話代行しております。都心、地方の葬儀社様を問わず、特に夜間帯における人手不足に陥る多くの葬儀社様からのコールセンター利用として重宝いただいております。
さて、本日は葬儀社様の採用の難しさについて少々ご解説を。
これ、単純に「昨今の人手不足だから」だけではないのです。業界特有の仕事内容・勤務形態・心理的負担・賃金構造・業界イメージ・採用市場の変化などが重なっていることが大きな理由となっております。特に重要なのは、葬儀社の仕事は「求人を出せば応募者が来る仕事」では決してなく、極めて応募の心理的ハードルが高いうえ、残念ながら入社後のミスマッチも非常に起こりやすい仕事だという点です。
① 葬儀という仕事そのものに心理的抵抗がある
最大の要因の一つです。多くの普通の人にとって、葬儀は日常生活から距離のある特殊な仕事です。たとえば、一般企業なら、
営業
事務
販売
IT
製造
飲食
など、自分が働いている姿を比較的イメージしやすいことでしょう。一方、葬儀社の場合、
「遺体を扱うのではないか」
「悲しんでいる遺族と接するのが怖い」
「死を毎日意識することになりそう」
「精神的にきつそう」
という先入観がどうしても生まれやすい。実際の葬儀社の仕事には、接客、葬儀の打ち合わせ、式場準備、事務、搬送、アフターフォローなど普通の業務が多々あります。しかし求職者からすると「葬儀社=死に関わる仕事」という単一のイメージで判断されやすいのです。そのため、仕事内容を正しく理解してもらう前の段階で候補者がネガティブイメージで短絡的に離脱してしまいます。
② 「誰でもできる仕事」と誤解されやすい一方、実際には高度な接客能力が必要
葬儀社の仕事はハタから見ると、ご遺族から依頼を受けて、葬儀を準備・運営する仕事に見えます。しかし実際には、非常に多くの能力が必要です。たとえば担当者には、
接客能力
営業能力
傾聴力
状況判断力
スケジュール管理能力
冠婚葬祭に関する知識
宗教・宗派への理解
葬儀費用に関する知識
クレーム対応力
スタッフ間の調整能力
突発事態への対応力
などが求められます。しかも、お客様は通常の買い物客とは異なります。大切な人を亡くした直後の心理状態にあるお客様です。そのため、通常の接客以上に繊細な対応が求められます。つまり、採用対象として必要な能力は高いのに、求職者側から見た職業イメージは特殊で魅力が伝わりにくいというギャップがあります。これはいけません。
③ 勤務時間が不規則になりやすい
葬儀は人が亡くなる時間を選べません。そのため葬儀社では、一般的な9-17時型の仕事と比較して、勤務時間の予測が非常に難しくなります。たとえば、
夜間の搬送
早朝の対応
土日祝日の勤務
通夜・葬儀による時間外対応
急な依頼への対応
当直・オンコール
などが発生する場合が当たり前のようにあります。これは若い求職者にとって大きなマイナス要因です。現在の採用市場では、給与だけではなく、「休日」「勤務時間」「在宅ワーク」「ワークライフバランス」が職場選びの重要な基準になっています。そのため、不規則勤務の可能性がある葬儀社は、他業界と比較すると採用競争で極めて不利になりやすいのです。
④ 精神的な負荷が高い
葬儀社の仕事には「感情労働」も負荷されます。担当者は、その者自身が悲しいわけではなくても、目の前には、
泣いている家族
動揺している家族
判断力が低下している家族
家族間で意見が対立しているケース
葬儀費用について悩んでいる家族
などに直面します。担当者は、その状況で冷静に仕事を進めなければなりません。たとえば遺族が動揺していても、
「何時までに式場の準備をするか」
「僧侶への連絡はどうするか」
「火葬場の時間はどうするか」
「親族への連絡はどうするか」
などを整理していく必要があります。つまり、他人の強い感情を受け止めながら、自分自身は冷静に業務を遂行する必要があります。これは人によって適性が大きく異なります。決して簡単な仕事ではありません。
⑤ 「死」に慣れるまでに時間がかかる
入社後の離職にも関係します。採用面接では「人の役に立つ仕事がしたい」という理由で入社した人でも、実際に現場に入ると、
ご遺体を見る
搬送に立ち会う
死亡直後の家族と接する
納棺に関わる
葬儀を何度も担当する
といった現実に直面します。そこで初めて「思っていた仕事と違った」と感じる人が出てきます。したがって葬儀社の場合、単純に応募者を増やすだけでは採用問題は解決しません。仕事内容のリアルな部分を入社前に理解してもらい、適性のある人を採用することが重要になります。これも決して簡単なプロセスではありません。
⑥ 業界のイメージが若年層に届きにくい
葬儀社は、若者から見ると「自分とは関係のない業界」になりやすい傾向があります。特に新卒採用では「葬儀社で働く」という選択肢自体が就職先として最初から認識されていない可能性があります。これは非常に重要です。採用には「認知 → 興味 → 応募 → 面接 → 内定 → 入社」という段階があります。葬儀社の場合、そもそも最初の「認知」の段階で他業界に負けているケースが多々あります。学生が就職先を考える際に、
「金融」
「メーカー」
「IT」
「商社」
「医療」
「公務員」
などは思い浮かんでも「葬儀業界」はそもそも候補に入らない。つまり、採用競争以前に、就職先候補として認識されていないことがあります。
⑦ 給与だけでは仕事の大変さを補いにくい
葬儀社によって待遇には大きな差がありますが、採用市場では給与水準だけでなく、仕事の負荷とのバランスが見られます。求職者からすると、
「夜間対応があるかもしれない」
「土日勤務がある」
「精神的に大変」
「ご遺体を扱う可能性がある」
「クレーム対応もある」
という条件がある場合、それに見合うだけの待遇が必要になります。もし他業界で、
土日休み
日勤のみ
リモートワーク可能
同程度以上の給与
キャリアパスが明確
という仕事が見つかるなら、そちらに流れるのは当然です。したがって、葬儀社の採用難は「給与が低い」という単純な問題ではなく、仕事の負荷と待遇の相対的なバランスとして考える必要があります。
⑧ 人材の「質」と「人数」を同時に求める必要がある
葬儀社では、単純に人数を増やせばいいわけではありません。たとえば、
「人と話すのが苦手」
「感情的な顧客への対応が苦手」
「突発対応が苦手」
という人を大量に採用しても、現場では長続きしません。一方で、
人柄が良い
冷静
礼儀正しい
相手の話を聞ける
臨機応変に動ける
営業もできる
という人材は、他業界からも欲しがられます。つまり葬儀社は、採用市場で競争力の高い人材を、一般的な企業とは異なる仕事環境に誘導しなければならないという難しさがあります。
⑨ 教育に時間がかかる
葬儀は失敗が許されにくい仕事です。通常の商品販売なら、多少の説明ミスがあっても後から修正できる場合が多々あります。しかし葬儀では、
日程
火葬場
宗教者
式場
遺影
供花
会葬者
料理
返礼品
搬送
など、多数の要素を短時間で調整しなければなりません。しかも一度きりの大事な式典です。そのため新人を採用しても、いきなり一人で顧客を担当させるのは難しい。相応の時間とコストがかかります。採用が難しい会社ほど現場が忙しくなり、新人教育に時間を割けなくなるという悪循環も発生します。
⑪ 「採用難」より深刻なのが「定着難」
葬儀社の人材問題を考える場合、応募者数だけを見るのは危険です。たとえば、
100人応募 → 10人採用 → 2年後に8人残る会社と、
100人応募 → 10人採用 → 2年後に3人しか残らない
会社では、同じ「10人採用」でも意味が全く違います。葬儀社では、
仕事のイメージと現実のギャップ
不規則勤務
精神的負担
教育不足
人間関係
キャリアの不透明さ
等々によって離職につながる可能性が非常に大きい。したがって「応募者を増やす」だけでなく「辞めない会社を作る」ことが採用対策の後ろ備えになります。
⑫ 地方の葬儀社ほど構造的に厳しくなる
地方ではさらに問題が複雑になります。人口減少によって労働人口そのものが減少する一方、葬儀は一定数発生します。むしろ高齢化や過疎化の影響で都会と同等以上の数かもしれません。その結果、仕事はある → しかし働く人が減るという構造が生まれます。さらに地方では若年層が都市部へ流出しやすいため「葬儀社が採用したい年齢層」と「地域に残っている求職者」のミスマッチも起こりやすく。。
⑬ 「高齢化」が採用問題を複雑にしている
葬儀業界では経験が重要です。葬儀の進行、宗派ごとの作法、地域の慣習、遺族への対応などは、経験を積むことで身につく部分が大きいからです。そのため、ベテラン社員が非常に重要になります。しかしベテランが退職すると「経験者が抜ける → 若手を採用する → 教育できる人が減る」という問題が起きます。さらに若手が定着しなければ「ベテラン退職 → 人手不足 → 残った社員の負担増 → 若手が疲弊 → 退職」という負の循環になります。
葬儀社の採用難の実態をまとめますと、
「死」「暗い」「大変」という先入観
精神的・身体的負荷がある
不規則勤務、休日対応など
優秀な人材は他業界にも選択肢が多い
入社後に仕事内容とのギャップが発生
そして、この5つが独立しているわけではありません。むしろ、
業界イメージが悪い
↓
応募者が少ない
↓
採用基準を下げる
↓
ミスマッチ採用が増える
↓
新人が辞める
↓
既存社員の負担が増える
↓
職場環境が悪化する
↓
さらに採用しにくくなる
という悪循環が起こり得ます。重要なのは「採用広告」だけでは解決しないこと。葬儀社の採用難を本気で改善するなら、求人媒体を増やすだけでは不十分です。むしろ、
①仕事の魅力を再定義する
→ ②仕事内容を正確に伝える
→ ③応募の心理的ハードルを下げる
→ ④未経験者を育成できる仕組みを作る
→ ⑤勤務条件を改善する
→ ⑥キャリアパスを明確にする
→ ⑦定着率を上げる
という一連の設計が必要です。特に葬儀社の場合、最大の採用メッセージは「葬儀を売る仕事」ではなく、「人生で最も困っている人を支える仕事」として、仕事の社会的意義を具体的に伝えることです。ただし、それだけで美化してしまうと入社後のギャップにつながります。「やりがい」と「大変さ」の両方を正直に伝える採用広報のほうが、結果的には定着しやすい人材を集めやすくなります。
弊社は各葬儀社様における主に夜間の電話代行サービスを葬儀専門コールセンターとしてその採用難の補助的サポートを行っております。まずは無料相談 https://rikka-call.net/#contact で現状をお伝えくださいませ。何かしらのきっかけをご示唆できるかと存じます。